大阪府内で生活保護を受給する母子家庭のうち、母親が強いストレスが原因とみられる精神疾患を患っている世帯は約3割に上ることが、堺市健康福祉局の道中隆理事の調査で明らかになった。ほとんどがDV(ドメスティックバイオレンス)、児童虐待などの貧困要因を複数抱えていることも判明。生活保護が親から子へ引き継がれる世代間連鎖は約3割に上った。道中理事は「健康面での生活支援も必要だ」と指摘する。
調査は、府内の214世帯を抽出して分析した。母親が何らかの病気を患っているのは131世帯(61%)で、うちパニック障害や心身症などの精神疾患は72世帯(34%)だった。
また、低学歴の母親は57%▽10代で出産した母親は26%▽DV被害は22%▽子供が病気の世帯は21%▽子供が薬物中毒、窃盗、売春などの問題を抱えている世帯は21%▽子供が虐待を受けている世帯は9%--で、一つの家庭で3~4項目の要因が重なっていた。
厚生労働省によると生活保護の受給世帯数(07年度)は約111万世帯で、うち母子家庭は8・4%を占める。1000人当たりの保護率は、全体で22人だが、母子家庭に限ってみると190人に跳ね上がり、貧困割合が高い。道中理事の調査では、母親の親も生活保護を受給していた世帯は07年の調査で41%、今回は32%だった。
道中理事は「さまざまな負の誘因が重なり合い、相乗的に影響を及ぼしている。強い不安とストレスにさらされ続けることで、母親が精神疾患を引き起こす母子家庭も多いのではないか」と話す。【坂口佳代】
貧困は所得の低さだけでなく、複合的な不利の連鎖を伴って現れることが少なくない。特に生活保護制度は、このような多くの問題を抱えて働けない時に初めて対応する実態もある。生活保護の実施に当たっては児童相談所や保健所、病院、司法関係者などとの連携が不可欠だ。
毎日新聞 2008年10月24日 大阪夕刊
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生活相談を受けていて、または自分の過去を振り返って。
母子家庭で生活困窮していることの困難さは、自分ひとりの場合とは又違います。
子どもは一番近い他人であり、母である自分の努力や気合ではどうにもならんなあといった側面に直面します。そこで踏ん張れるのは、人に恵まれるなどの運や、自分の気力体力あってこそです。
ぎりぎりの、綱渡りのような努力を強いるのは、もうやめたいですね。
子どもという他人を育てることは、本来は大きな発見であり喜びです。いまさら自分をいきなおすきっかけを運ぶ、それが他人と暮らすということ。社会でも応援しませんか?
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「女性は世界の労働の三分の二を行っているにもかかわらず、
収入は五%でしかな く、資産は一%にも及ばない」
(ILO:国際労働機関)
男性の貧困が、女性なみの貧困になってきた(貧困の女性化)こと
で「貧困」が社会問題視されるようになりました。しかし、女性はずっ
と前から貧困でした。そして今、女性の貧困は悲惨さを増しています。
女性の約54%が非正規労働者として、正規男性の約40%の低賃金
で働いています。シングルマザーの暮らしは年収171万円で手当が
あってもギリギリです。
DVから避難した女性たちは不安に怯えながら「自立」を求められて
います。高齢女性の年金は低額で、生活に困難を抱えています。生
活の厳しさから精神を病む人も多く、男性に頼ってもが更なる暴力や
貧困につながる場合もあります。外国籍の場合、困難は非常に大きく
なります。
しかし、女性の貧困はこれまでほとんど問題視されてきませんでした。
なぜでしょうか。
日本では男性が外で仕事、女性が家事育児という価値観が根深いた
め、女性は男性に扶養されるのだから低収入で当然と思われ、女性が
声を上げても男性の賃上げが優先され我慢を強いられてきました。女
性自身も結婚すればなんとかなると思って来ましたが、結婚してもDV
や夫のリストラや借金などさまざまなリスクと直面するケースが増えて
います。離婚後の子どもを扶養する責任は女性が負うことが多いので
すが、子どもへの支援はまったく手薄です。
日本の企業は大小問わず、男女雇用均等法が成立した以降も女性を
パートや派遣労働に追い込み、安上がりの労働力として利用してきまし
た。また男性主導の労働組合の多くも、足元の非正規問題と男女の賃
金差別を放置してきました。企業だけではなく行政において、福祉職や
事務職において非正規雇用の率は増加し、正規職員のみではもはや
現場は回らない状況です。パート労働や派遣労働の便利さに味をしめた
企業・行政機関がそうした労働力をより多く求め、労働の規制緩和が進
むことで、1990年代後半には主婦だけでなく多くの若い男女に、不安定
な非正規労働しかない状況が産まれたのです。さらに、生活保護や児
童扶養手当、教育援助、雇用保険、医療保険などさまざまなセーフティ
ーネットが崩壊し、更なる貧困が女性たちを直撃しています。社会的な
差別構造を抜本的に解決する対策が喫緊の政治的課題です。
私達は、様々な貧困問題に直面する女性たちが集まり、女性と貧困の
問題の実態を明らかにし、訴え、女性たちの貧困の真の解決を図るた
めに「女性と貧困ネットワーク」を結成します。私達は全国の仲間と情報
を共有し、貧困にさらされている女性達の問題解決のために助け合い
のネットワークを広げます。女性の貧困問題の解決のために、提言を
行なっていきます。
これまでの貧困問題の解決のための活動に敬意を払うとともに、提案
をします。一つは、貧困状態にある男性の意識の問題、たとえば「男が
妻子を養わなければならない」という認識が男性たちをより一層追い詰
める要因になっていることへの気づきです。二つ目には女性の貧困を
可視化し、女性が心身ともに自立できる労働とセーフティーネットを充実
させることが、すなわち男性の貧困問題の解決につながることを共有化
したいと思います。三つ目は今ある「労働市場」に「男性並み」に参入す
ることではない働き方を作り出していくことです。労働基準法や産休等の
様々の権利を企業・行政に働きかけ、時には法そのものを変革するなか
で、男性中心の「労働」のイメージと現実を変えていくことです。それは女
性のみならず男性にとって「賃労働者」としてだけではない「生活者」とし
て生きる姿を示していくことでしょう。女性の働き方を考えること、それは
労働の根幹を揺るがす力を持ち得るのです。女性も男性も共に「人とし
ての尊厳」を持続できる、差別のない公正な雇用と安全で心豊かな社会
を目指して、共に力を携え合いましょう。
最後に、私たちのネットワークを、一緒にあなたの身近な人に伝えてくだ
さい。
2008年9月28日
女性と貧困ネットワーク立ち上げ集会参加者一同
6月19日22時19分配信 読売新聞
民法772条の離婚後300日規定を巡る無戸籍児問題で、全国の無戸籍児約20人が7月上旬、一斉に実父に認知を求める調停を家庭裁判所に申し立てることを決めた。最終更新:6月19日22時19分
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なによりも、産まれてきた子ども本人の福祉を優先してほしいです。生まれた子どもたちは、もう、その人として、存在しているのですから。法律は、個人の人権や幸せであろうとすることを守り、追認していくものであらねばならないと思います。
個人が国家のために使い捨てられるだけの存在なのではなく、国家こそが個人を守り支えていくのであると言う前提が成立してこそ、真に安定した社会となるのではないかと思います。そのための法律でしょう。社会情勢が変動する中で、柔軟性を失ってしまっては、本末転倒になることも多いのではないでしょうか?
厚生労働省は10日、生活保護受給者が医療機関で受診する際の交通費(通院移送費)の支給基準を厳格化した4月1日の通知を事実上撤回し、個別事情に配慮して適正に支給するよう新基準を通知した。撤回した通知は、原則支給されていた交通費を原則不支給としていた。来月実施予定だったが、「受診抑制を招きセーフティーネットが破壊される」と受給者から強い批判が出ていた。
自民党議員有志が10日、舛添要一厚労相に厳格化の撤回を要請。舛添厚労相は会見で「(厳格化の)事実上の撤回。(新通知で)受給者が必要な医療を受けられなくなることがないようにしたい」と述べた。
新通知は、旧通知が例外的に給付する条件に挙げた「身体障害者など公共交通機関の利用が著しく困難な場合」について、知的・精神障害者や難病患者も含まれることを明記。「交通費が高額になるへき地在住」の条件も、継続的な通院が必要で交通費負担が重い場合など、「都市部在住でも一律に(支給対象から)排除しない」としている。
生活保護受給者らとともに旧通知の撤回を求めていたNPO「もやい」の湯浅誠事務局長は会見で「『事実上の撤回』は評価するが、完全撤回を求めていたので残念。内容を精査して新通知の評価を決めたい」と話した。また、埼玉県在住で、持病の治療のため東京都内の病院に通っている受給者の女性(46)は「厚労省は生活保護費の削減だけが目的で、誰がどんな影響を受けるか何も考えていなかった」と、改めて旧通知を批判した。【東海林智、夫彰子】
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080611-00000002-mai-pol
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とりあえず。
次は何できますやら。
こないことを祈る。
2008年06月04日03時02分
政府は今月末にまとめる「骨太の方針08」で、「骨太の方針06」に掲げた07~11年度の歳出削減目標を維持する方向で調整に入った。ただ、09年度予算については、これまで続いた「社会保障費の年間2200億円抑制」は明記せず、予算編成での調整にゆだねる。
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政府は「骨太06」で、国債の元利払い以外の歳出を基本的に税収でまかなう「基礎的財政収支の黒字化」を11年度に達成する目標を設定。社会保障や公共事業など分野ごとに07~11年度の歳出削減目標を掲げた。昨年の「骨太07」は分野ごとの削減目標は盛り込まなかったが、「骨太06にのっとり、最大限の削減を行う」と明記した。
「骨太08」でも歳出について「最大限の削減」を掲げ、「骨太06」を踏襲する姿勢を明確にする。ただ、政府・与党内で歳出増を求める声が強まっているため、「最大限の削減努力を行う」といった努力目標に和らげる案もある。
骨太の方針をまとめる経済財政諮問会議の運営を担当する大田経済財政相は3日の記者会見で「『06』の枠組みは守っていく。首相からもそういう方向での発言が(諮問会議で)あった」と述べた。
政府は「骨太06」の歳出削減目標に従って、07、08年度予算で、毎年1兆円前後ずつ膨らむ社会保障費を年2200億円ずつ抑制した。5年分の目標を5等分した規模だ。公共事業費も3%超ずつ減らし、目標を維持してきた。
ただ、社会保障費の抑制路線には、与党内に見直しを求める声が強まる。大田氏は「『最大限の削減』を目指して努力する姿勢は変わらない。ただ、来年度の金額が具体的にいくらになるかは(年末の)予算編成に向けて決まっていく」と語った。(庄司将晃)
http://www.asahi.com/politics/update/0604/TKY200806030369.html
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骨太の方針2006を、覚えていらっしゃるでしょうか?
社会保障費を毎年2,200億円へずっていくって言う項目があるんですよ?だから私たちも『生活保護費削減反対!』とか、危機感を持って息巻いてきたわけです。
税金はさらに取られる方向だそうですよ?
でも、社会保障費は削減・・・?
うーん。
今の日本社会では、努力さえすれば報われるなんて、そんなことは神話に過ぎないって、ご存じないのかしら?蟻地獄のように、一度吸い込まれたら這い上がれないような貧困の構図がありますよ。
雇用を崩されて、人間関係のつながりを寸断されて、社会保障もぼろぼろになっていく・・・。私たちは、生きていても、いいですか?
一回落っこちてみて、穴の底から這い上がろうと体験してみたらいい。足場はもろく、小さいんですよ。数人が使ったら、もう次の人はそこを足場として使えない。崩れているから。
がんばって、がんばって、運のいい一握りの人が、自分と同じような境遇の人を踏みつけて何とか這い上がる。でも、そこで永続的に雇用されるとは限らない。
生き続けられることを、まず保証してください。
そこにいる人間が生き続けることを国家が補償すること、それが最も大事なことなんじゃないでしょうか?
本当に弱りきって声を奪われる前に、声を上げてみませんか?
社会保障費の削減とは、現実に即していません。いまこそ、私たちの声を届けたいです。
共同行動への参加を呼びかけます
2008年5月2日
各団体御中
生活保護問題対策全国会議 代表幹事 尾藤廣喜
中央社会保障推進協議会 代表委員 住江憲勇
全国公的扶助研究会 会長 杉村宏
全日本民主医療機関連合会 会長 鈴木篤
NPO法人自立生活サポートセンター・もやい 理事長 稲葉剛
特定非営利活動法人DPI日本会議 議長 三澤 了
全国生活と健康を守る会連合会 会長 鈴木正和
日頃より、国民の暮らしと医療を守るために奮闘されていることに敬意を表します。
国・厚労省は、4月1日から生活保護の通院移送費の削減を強行しました。すでに、多くの自治体で打ち切りが始まっています。この削減は、実質的な基準引き下げになり、生活保護世帯の生存権を著しく侵害するものです。通院移送費の削減は、受診抑制をひきおこし、命と医療を受ける権利を奪うものでもあります。同時に、3月3日に発表して、4月1日実施はあまりにも乱暴なもので、手続き的にも大問題です。
そこで、貴団体で厚労省や国会議員などへの働きかけをおこなっていただくようお願いします。また、私たち7団体は、通院費削減撤回を求めて、次のように、国会議員要請、厚労省前での宣伝・抗議行動、院内集会などを行いますので、参加いただくようお願いします。
記
1.5・14国会議員要請、宣伝行動
(1)日時・集合 5月14日(水) 午後1時40分衆議院議員面会所
(2)午後2時~3時 国会議員への要請行動
2人くらいで組を組んで、議員要請をします。
各団体で議員に渡す要請書や資料があれば、30部印刷して持参ください。
(3)午後3時30分~4時30分 厚労省前での宣伝・抗議行動
各団体で5分程度訴える弁士を準備してください。
この時間内に厚労省への要請をおこないますので、要望書などを
厚労省に提出される団体は持参ください。また、旗やノボリなどを持参ください。
2.5・21院内集会
(1)日時 5月21日(水)12:30~14:00
(2)会場 衆議院第1議員会館第1会議室
*会館への通行証は、12:00よりロビーでお渡しします。
3.その後の行動は、下記のように予定しています。確定次第お知らせします。
□6月9日(月)午前10時~厚労省交渉、12:00~ 院内集会
(連絡先)生活保護問題対策全国会議
事務局長 弁護士 小久保哲郎
TEL06-6363-3310
FAX06-6363-3320
通院移送費(交通費)支給抑制通知の撤回を求める声明
2008年4月16日
NPO法人自立生活サポートセンター・もやい
理事長 稲葉剛
162-0814東京都新宿区新小川町8-20こもれび荘
TEL:03-3266-5744(火曜11~21時、金曜11~17時)、FAX:03-3266-5748
Email:info@moyai.net、URL:www.moyai.net
「健康への願いは人間の最も根源的な欲求であり、医療に対する国民の不安を解消することは、政府が今為すべき施策の中で最も優先すべき課題である」――これは、他ならぬ「規制改革推進のための3か年計画(改定)」(2008年3月25日閣議決定)中の文章である。
この文書が「今為すべき施策の中で最も優先すべき課題」として「医師を含む医療従事者の一切の制限のない派遣解禁」を訴えた同じ時期に、厚生労働省は151万人に達する生活保護受給者の医療受診機会を実質上奪いかねない通院移送費支給の抑制を求める文書を各自治体に通知した。
厚生労働省保護課は「真に医療を必要とする人にはこれまで通り支給できる」と言っているという(朝日新聞大阪版4月13日付)。しかしまた「(大阪)府内のある福祉事務所は、現在の支給総額の6~7割をカットせざるを得ない」とも報じられている(同上)。厚生労働省の言い分だと、この人たちは「真に医療を必要とする人ではない」ということになるのだろう。いつものやり方だ。
以下は、今回の通知の撤回を求める、生活保護利用者の一人からのメッセージである
「私は、現在は精神科医、一人しか診てもらっていないのですが、わずかな時間であるとはいえ、生活保護を受けていて、しかも全く身寄りもなく、いつも恐怖や不安を抱えている者として、精神医療機関につながっているというだけでも、大変な支えになっております。
その移送費を廃止ということになってしまわれますと、もう、精神医療に通うことが、今までのような、少なくとも定期的な通院はできなくなってしまいます。
なぜかといいますと、生活扶助の節制で、ギリギリだからです」
今回の通知は、この人から「大変な支え」を奪う。ギリギリの暮らしをする人々から「大変な支え」を奪い取ることが「今為すべき施策」だろうか。
政府が、これ以上、人々の暮らしに敵対しないことを改めて求める。過ちを過ちと認めて撤回すれば、人々も政府を見放すことはないだろう。
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