私は一艘の漂泊する小船だった。
どこに行っても同じ。若いうちは体さえあれば生きられる。その先のことはそのとき考える。死ぬことも生きることもよくわからない。どうでもいい。何か考えたってどう変わるって言うの?下手な慰めを言わないで。そんなものより、お金と食べ物と、安全なねぐらを頂戴。
そんな風に若い頃を生きて、なるようになった。そして恐ろしいことに、気づけば私には子どもがいた。そこではじめて目が覚めた。
私は、私をこんな風にした親のようになりたくない。
私は女性であることを愚弄され、なぶられ続けてきた。しかし皮肉なことにそれが生きる糧でもあった。大きくなってからの生き方は自分の選択だ、心ばえを過去のせいにするなと何度唱えても、なお、私は男性に対して恐怖を感じ続けた。そして恐怖は不安を呼び、憎しみに成長した。憎しみにとらわれて動けなくなった。
ホームレス状態になった私たちを救ってくれたのが<もやい>だった。男性スタッフが怖かったが安全な距離を置き、係わり続けた。私は憎しみにとらわれて世界を狭めたくないし、それに、男性にも言い分があるに決まっている。第一私をなぶった当人ではないのだ。自分が過去に知っている以外の男性と出会いたかったし、声を聞きたかった。そしてできるなら私の声も聞いてほしかった。もう、憎むのに疲れ果てていた。そして文字だけで付き合ってきた時期を経て、姿を現した。<もやい>のドアをくぐった。
もやいのオジサマたちとお話する。当たり前だけれど、それぞれ違う感性と歴史を持っている。そしてその違いを感じるとき、無性にうれしさがこみ上げる。「あぁ、生きてきたから、会えたね」と思う。
同時にここでの私の存在を思う。きっとオジサマたちにとって、私の背負っているものや、話す言葉や、考えは、相容れないだろう。それどころか苛立ちや憎しみを感じることもあるかもしれない。だから語るときはずいぶんとドキドキしている。怒鳴られてもいいよ。でも、できればやさしく話し合えたらうれしい。私が持ち込んだ雰囲気は、オジサマたちの安全感を損ねるものだと思う。でも、こんな風に飛び込んだ私には、ある意図がある。
私は、広く世界とつながりあいたい。オジサマたちとも、つながりたい。今でなくてもいいんだ。今は嫌われていてもいい。同じ人間として、存在を許しあえる日が来るといいと夢見ているし、できればいつか手をつなぎあえたらうれしい。
馬鹿にされ軽んじられてきた私は、反対に他人を馬鹿にして軽んじてきてもいると思う。大事にするという能力も実は学習してきたものだから、大事にされた経験がない私は、ひどい態度を無意識に垂れ流してきたはず。男性嫌悪といいながら、男性蔑視もしてきたと思う。
排除から理解に、シフトしたい。私は、もっと、出会いたいし、知り合いたい。<舫い>が必要なんだ、もう二度とはぐれてしまわないように。
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