新聞記事より。漏救率の問題が取り上げられています。現場にいる人間は、こんなこととっくに知ってるってば。
どうにもならない状態になって、恥ずかしさに耐えてすがる思いで福祉の窓口へ行って、申請書が出てこないんです。そういう書式があってそれを出さないと申請したことにならない、数のうちにも入らないなんて生活保護を受けたことがなければ本人は知らないから(相談のみはノーカウント)、「申請書をください」なんていえないのです。同席するのはそうした水際の攻防を援護射撃するためです。だってフェアじゃない。ただ、第三者が同席して、何も言わずにそばで聞いているだけで、態度も、言葉の選び方も変わるなんて、おかしいですよ。
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<生活保護>7割が申請に至らず 事前相談で門前払いか
全国各市が設置する福祉事務所で04年度に受け付けた生活保護の相談件数のうち、実際に保護を始めた割合が平均で28%と3割に満たないことが会計検査院の調べで分かった。最低の北九州市は14.6%で、最高の千葉市は69.7%だった。こうした自治体間の格差について専門家の中には「相談にとどめて申請させない門前払いの実態を示している」と指摘する声もある。政府が給付削減を進める中、生活保護行政の姿勢が問われそうだ。
検査院は昨年6月に国会から社会保障費の地域間格差の検査を要請され、生活保護費などを調査。初の結果となった。
検査院によると、相談件数を把握しているのは、全福祉事務所(1225カ所)のうち各市が設置した事務所(903カ所)。政令市と都道府県別に集計したが、最高、最低以外の自治体は公表していない。
調査結果では、相談件数に対する保護開始率の低さが目立つ一方、相談から申請に至った比率も全国平均で30.6%。最低が北九州市(15.8%)で、最高が千葉市(71.1%)だった。実際に申請された件数に対する保護開始率は平均で91.5%。最低の熊本県でも73.8%と高く、申請後は高率で保護を受けられる実態がうかがえた。
日本弁護士連合会が今年6、7月に行った生活保護に関する無料電話相談によると、事務所に相談に行った180人中118人(65.5%)が「65歳までは仕事を見つけなさい」「子供などから援助を」などと言われ申請に至らなかったという。
生活保護行政の問題に詳しい小野順子弁護士は「子供など扶養義務者がいることが理由で相談段階で門前払いになるケースが多い。だが、実際には申請を受けて調査しないと扶養できるのかどうかすら分からない」と指摘する。一方、厚生労働省保護課は「相談者はさまざまな要因で生活に困っており、児童給付などほかの制度を使っている可能性もある。この数字だけで門前払いとは言えない」と話している。【斎籐良太】
◇ ◇
北九州市では、保護を必要とする人たちから悲痛な声が上がっている。
「区役所の窓口はいつもけんか腰で『子供に援助してもらえ』の一点張り。思わず『首をつって死にます』と言ったこともある」。小倉北区の市営住宅に1人で暮らす女性(75)は8年前に夫と死別。年金月額7万円だけが収入だ。2人の息子のうち援助を受けていた二男が春から音信不通に。長男は自分の家計維持で精いっぱいという。「介護保険料も医療費も上がって暮らしはぎりぎり。夫が元気な間はちゃんと税金を納めていたのになぜこんな目に遭うのか」と涙ながらに訴える。
同市内7区の福祉事務所は毎年策定する運営方針で相談件数に対する申請率の数値見込みを設定している。同市保護課は「申請件数のとらえ方が自治体によって異なり、申請率を一概には比較できない。市は従来、保護行政の適正実施に努めている。門前払いはしていない」と反論する。
もちろん北九州市だけではない。今年2月、京都市伏見区では、認知症の母親(当時86歳)の介護で生活苦に陥った息子が、母親に相談の上で殺害し自らも自殺を図った。息子は窓口に3回行ったが、失業保険を理由に申請を受理されなかった。京都地裁は7月の有罪判決で「生活保護の相談窓口の対応が問われている」と異例の指摘をした。また秋田市では今年7月、2度の申請を却下された男性(当時37歳)が、乗用車内で練炭自殺している。【古川修司】
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