消費者からの直接相談廃止? 国民生活センター業務縮小案
2007年10月11日
悪質商法からの被害救済や製品の危険性に関する注意喚起などの中核的な組織である独立行政法人「国民生活センター」の業務縮小案が政府内で検討されており、消費者団体や消費者問題に取り組む弁護士らが猛烈に反対している。政府は国の財政の再建を図る一環で、年末までに独立行政法人の整理合理化計画を策定する。消費者被害が減らない中で、国民生活センターの業務も縮小させてよいのか、大きな論議になりそうだ。 (白井康彦)
全国の自治体の消費生活相談の窓口や国民生活センターに入った相談の情報は、国民生活センターの東京都港区の事務所が運営するデータベース「パイオネット」に蓄積される。国民生活センターは、危険性があると判断した商品については神奈川県相模原市の事務所で商品テストを行う。相模原の事務所では、全国の消費生活相談員を集めた研修も行われる。
内閣府は、「国民生活センターの在り方等に関する検討会」で議論を重ね、先月、業務見直し案をまとめた。同センターは、消費者からの相談を直接受ける「直接相談」を年間約四千件受けているが、見直し案では、この直接相談の廃止を提言。自治体の相談員からの相談に乗るなどの「経由相談」は残す。消費テストは大幅に外部委託。研修事業の官民競争入札も検討する。業務の追加は、消費者トラブルを裁判外で解決するADR機能の整備が目立つだけだ。
◇
消費者問題の専門家や地方の相談員らは今回の見直しに驚いている。埼玉大学非常勤講師の原早苗さんは「職員の現場感覚を失わせてしまう」と指摘。
関西地方のベテラン相談員は訴える。「自治体の相談員の給料は安く身分は不安定。それでも悪質業者と闘っています。国民生活センターの研修で相談に当たる心構えをたたきこまれる効果が大きい。直接相談が廃止されたら、センターは『臨床経験のない医者が臨床について語る』みたいになってしまいます」
パイオネットに入力された相談件数は、二〇〇六年度は約百十万件で、十年前のおよそ三倍。一方、内閣府の調査によれば、全国自治体の消費者行政関係の予算額は〇六年度は約百十六億円で、十年前より四割ほども減っている。相談員らは「国民生活センターの業務が縮小されたら、地方の消費生活行政の予算もさらに削られてしまうのではないか」と心配する。
◇
ところが、国民生活センターの業務縮小が内閣府の当初案のレベルにとどまる保証もない。独立行政法人の見直しは「政策評価・独立行政法人評価委員会」(事務局は総務省行政評価局)と「行政減量・効率化有識者会議」が政府の行政改革推進本部に意見を言い、同本部の議論を経て決定される(図参照)。
十月一日に開かれた有識者会議の会合で、総務省は委員会の検討状況を説明した文書を配布。国民生活センターについては「ADR業務を抜本的に検討」「国民生活センターが認定する消費生活専門相談員制度は廃止を検討」「東京事務所の建物を廃止」などと、消費者団体にはショッキングな論点が列挙されていた。
委員会は今後、内部のワーキンググループで検討を進める。ワーキンググループの会合は傍聴は認められず、議事録も公表されない。消費者団体の幹部らは「国民生活センターの縮小が『密室』で決められていくのは許せない」と訴える。日本弁護士連合会は十一月五日に東京都内で縮小に反対する集会を開く。
消費者団体などの希望の光は、福田康夫新首相の今国会の所信表明演説だ。「国民の安全・安心を重視する政治への転換」という項目の中で「消費者保護のための行政機能の強化に取り組みます」と強調した。同センターの業務を縮小させたら「所信表明と矛盾する」とだれしも思うのではないか。
中日新聞
http://www.chunichi.co.jp/article/living/life/CK2007101102055501.html
東京新聞
http://www.tokyo-np.co.jp/article/living/life/CK2007101102055501.html
-----------------------------------------
貧困ビジネス(生活困窮者をターゲットにしたビジネス)が悪質かつ、巧妙になっている中、国民生活センターの存在は重要です。
被害が減らない中で、需要がある中で、なぜ、縮小なのでしょうか?
困るのは、貧困にさらされている当事者たちです。
11 | 2024/12 | 01 |
S | M | T | W | T | F | S |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 |
8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 |
15 | 16 | 17 | 18 | 19 | 20 | 21 |
22 | 23 | 24 | 25 | 26 | 27 | 28 |
29 | 30 | 31 |
【政治・貧困問題】 |
反貧困ネットワーク |
権力とマイノリティ |
【生活保護】 |
生活保護問題対策全国会議 |
生活保護110番 |
岩崎じゅん子と市民のひろば・生活保護に関する情報 |
首都圏生活保護支援法律家ネットワーク |
【労働・ユニオン】 |
反貧困たすけあいネットワーク |
首都圏青年ユニオン |
全国ユニオン |
働く女性の全国センター ACW2 |
【ジェンダー】 |
"iratsume" - Nihongo - |
東京フェミニストセラピィセンター |
【DV・母子家庭】 |
女性のためのDV相談室 |
配偶者からの暴力被害者支援情報 |
しんぐるまざあず・ふぉーらむ |
【居心地よく、生きたい】 |
サロン・ド・カフェこもれび |
ブルーテント村とチョコレート |
green necklace |
【精神医療・福祉関係】 |
ネット版 おりふれ通信 |
東京精神病院事情(ありのまま) |
【発達障がい】 |
AD/HD Portal site |
【ホームレス支援関係】 |
NPO法人 自立生活サポートセンター・もやい |
☆TENOHASI☆ BLOG |
【新しい働き方】 |
あうん-Asia Worker's Network- |
興味を持ってくれた人、一緒になんかしよ?