<沖縄県知事選>「自公」が推す仲井真氏が初当選
新人同士が激しく争った沖縄県知事選は19日投開票され、稲嶺恵一知事の後継で「自公」が推す仲井真弘多(なかいまひろかず)さん(67)が、「反自公」の糸数慶子さん(59)を破り初当選した。米軍普天間飛行場の返還問題が県政最大の政治課題となって10年。「基地と経済振興」のはざまで揺れ続けた県民は、経済振興と雇用安定を訴えた仲井真さんの「国との協調路線」を支持し、普天間移設による本土復帰後初の米軍基地建設を事実上容認した。【三森輝久、上野央絵】
那覇市銘苅(めかる)の仲井真さんの選挙事務所。「当選確実」の知らせが入ると、支持者らから一斉に拍手と歓声が起こった。仲井真さんは選対本部長を務めた稲嶺知事と笑顔でがっちり握手。経済団体幹部や自民、公明両党の地方議員らが互いに肩をたたき合い、初当選を祝った。
仲井真さんは「多くの支持をいただき、感謝したい。県民の願いを早く実現させるため精いっぱいがんばりたい」とあいさつした。稲嶺知事は「能力、実力、人柄とも申し分ない。安心して県政を任せられる」とほっとした表情で話した。
知名度不足を指摘された仲井真さんは、自公と経済界の支援を受けて徹底した組織選挙を展開。県民に人気の高い稲嶺知事と二人三脚で、知名度不足を補った。また、自民党の中川秀直幹事長や山崎拓前副総裁ら自公両党幹部らの応援も受け「中央とのパイプ」を強調、一部労組の支援も得て、支持を広げた。選対幹部は「基地問題より経済振興を重視する有権者へのアピールが功を奏した」と勝因を語った。
一方糸数さんの陣営は、那覇市古島の教育福祉会館で開票状況を見守った。落選が確実になると「信じられない」「どうして」と、支持者の間から悲鳴があがり、重苦しい空気に包まれた。
「普天間の県内移設に反対し、基地に依存しない自立経済を確立する、との訴えが十分に浸透しなかった」。糸数さんは出遅れが響いたことへの悔しさをにじませた。そして「皆様に押し上げていただいた参院議員という国政の場を離れての決断がこんな結果になり申し訳ありません」と頭を下げて陳謝した。
選対幹部は、擁立過程で、元県出納長の山内徳信さん(71)と保守系政治団体「そうぞう」代表の下地幹郎衆院議員(45)が出馬に意欲を示したことを指摘し「一本化調整の難航が、結果的に選挙運動の足並みの乱れを招いた」と語った。
国会は17日、民主党など野党4党の全面審議拒否が続く中、与党が単独で教育基本法改正案の参院審議入りを強行した。これに反発した野党側は徹底抗戦を継続。ただ、今回の審議拒否はもともと、19日投開票の沖縄県知事選をにらんだものだけに、選挙後の週明け以降は与野党双方から国会正常化を模索する動きも出てきそうだ。
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